「そろそろ限界か」 「このくらいでッ!」 シャロンは叫ぶと残り少ない渾身の力を振り絞りファブリスに向かって剣を振り下ろした...がそれも軽々とファブリに剣を使って防がれるとそのまま腕を返されシャロンの手から剣を弾き飛ばした。 弾き飛ばされた剣は放物線を描きながら周りを囲む光の一族の兵士達の頭を超え先端から地面に突き刺さる。 「あっ...」 乾いた小さな声を上げるとシャロンはその場にヘナヘナとへたり込んでしまった。 「なかなか楽しませてもらったがもう少し骨があると思ったのだがな」 ファブリスはへたり込んだシャロンに近づくと剣の平でシャロンの顎を上げさせる。 「こっ殺せッ!」 剣先で上げられた顔を横に背けると眉間にしわを寄せファブリスを睨み言い放つシャロンの目には明らかに怯えと動揺が伺えるのをファブリスは見て取った。 「まだだ、まだ殺しはせぬその体を存分に楽しむまではな!」 「なら自分で死ぬッ」 「死ねるものなら死ぬがいい、だが自ら死ぬ勇気が貴様にあるのか?」 「なっ!?」 ファブリスはシャロンの腕を掴み後ろに捻り回し強引に引っ張り上げた。 「ぐっ..ああっ!」 捻り上げられた腕の痛みに抗し切れずシャロンは反射的に背を伸ばし立ち上げられる....。 その頃カイザーは広間の入り口付近でシャロンを救う為道を開けようと、近づく者が恐慌しそうなほどの形相で光の一族と合間見えていた。 「どけぇ!貴様らの様な雑魚に用は無いッ」 しかしいくら倒しても次から次へと光の一族の兵士は現れキリが無かった。 そしてシャロンが男との一騎打ちに負けその男とともに奥に消え去ろうとするのを見るとカイザーは広間全体に響き渡るかのような大声で叫んだ。 「シャロン!」 その声が聞こえたのかシャロンはカイザーの方へと頭をめぐらせるとまたゆっくりと頭を戻し闇の中に消えて行った.....。 カイザーにはその時シャロンがにっこり微笑んでいるように見えた。 そして兵士達に命令を下すと自らが殿になりつつ部隊をその場から引き上げさせた......。 |
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