シ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」
 崩れ落ちたシャロンはいまだ激しい呼吸をしていたが、少しするとその呼吸も緩やかになり始めた。
 その時カイザーが口を開いた。

カ「す・・・すまない・・・シャロン・・俺は・・・こんな事を・・くそっ!!・うっ・・ううっ」
 カイザーは普段見せない様な辛い表情で歯を食いしばると、膝をガクリと床に落とし横の机を悔しそうにドンドンと叩いた。
 
シ「カイ・・・ザー・・・」
 シャロンは目の前でうな垂れ咽ぶカイザーを見て呟いた。
 カイザーの目頭からは涙が溢れ、流れ落ちた涙が床に黒い染みを作っていた。

シ(泣いてるの・・・)
 シャロンはカイザーの涙など今まで見た事もなかった。
     
シ(そんなに私の事を・・・)
 シャロンは先ほどまでカイザーに体を乱暴されていたのに今ではカイザーに申し訳ない気持ちで一杯になった。
 それは今までカイザーの気持ちを考えず自らの都合だけを考えてきた自分への罵りからだった。
 そしてシャロンはゆっくりと立ち上がると、顔にべっとりと付いたカイザーの精液を手で拭い取りながら別人の様なカイザーに
 近づき小さな声で語りかけた。

シ「カイザー・・・ごめんなさい・・・私がずっと曖昧に答えてばかりいたから・・・あなたが悪いんじゃないわ・・私が悪いんだから」
 シャロンはカイザーの頭を子供の様に優しくなでながらその場に腰を下ろした。
 カイザーはハッとして涙を拭うと顔を上げシャロンを見た。

カ「!」
 シャロンのそのにっこりとした表情にカイザーは体を何か暖かい物に包み込まれるかのように感じた。
 その心地良い暖かさと安らぎにカイザーは自らの行いの恥ずかしさに申し訳無さそうに横へ視線を逸らした。
 しかし再度振り返ると一言言った。

カ「こんな俺を・・許して・・・くれるのか?」

シ「ええ・・ただ私の事も許してほしい・・・それでお相こにしましょ」

カ「あ・・ああ、俺はお前の為なら20年、いや50年でも待つ。お前が俺だけを見てくれるようになるまで・・・」
 カイザーは決意に満ちた表情でそう答えた。

シ「そんなにかからないと思うわ」

カ「?」

シ「さっき髭の男の話してたでしょ?あの男を倒してほしいの」

カ「髭の男を?なぜ?」

シ「実はあいつと今日戦ったの・・」

カ「!」
 シャロンの言葉を受けてカイザーの表情が急に引きつった。

か「そ、それでどうした!?」

シ「私、あいつに負けちゃったのよね」

カ「お、お前がか?そんなに強いのか?」

シ「私じゃ全く歯がたたなかった・・あなたと同じぐらい強いと思うわ」

カ「・・・」

シ「でもあいつ負けた私を殺そうとしなかった・・」

シ「その後あいつの事考えてると何か頭の中がモヤモヤして変なの・・あいつを倒せば何か変わりそうな気がするのよね、ただの私の勘だけど」

カ「わかった」
 カイザーは簡潔にそう言うとスッと立ち上がった。

カ「明日そいつを俺が倒す・・・お前の為に」

シ「え?カイザー・・・・」

ちゅっ

カ「!?」
 シャロンはカイザーの頬にキスをした。
 カイザーは少し頬を染めながら胸の辺りから装飾の入ったハンカチを取り出しシャロンに手渡すと、何も言う事無く背を向け部屋を出て行った。
 しかし、ほんの少し見せたその表情は妙に幸せでうれしそうだった。
 そしてガランとした部屋に一人シャロンだけが取り残された。

シ「・・・・・」
 シャロンは何も言う事無くカイザーから貰ったハンカチで体に付いた精液を丁寧に拭き取ると服を正した。

シ「これで・・・良かったのかしら・・・何か少し気にかかるんだけど・・・」
 シャロンはそう小さく呟くと、鎧とマントを手に取り部屋を後にした。


続く・・・。


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