このページにはシチュエーション上CGは無いです。 | 光の一族の魔道士の強力な魔法によって光の世界へと通じる通路が埋まり長い戦は終わりを告げた。 それから20年・・・大きな事が起きる事も無く平穏に時は流れていった。 しかしそれも束の間、何物かによって光と影の通路が開放され、光と影の一族の戦が再び始まりを告げた。 影の一族の城 城内 カツッカツッカツッカツッ・・・ 暗く狭い廊下内を金属音が響き渡る。 その中をシャロンとカイザーの二人が並んで歩みを進めていた。 戦いが再開されてからというもの、この二人が並んで歩いている事はさほど珍しくも無かった。 シ「ねぇカイザー、今日は何人倒したの?私は今日6人も倒したわ」 カ「6人か、なかなかやるじゃないか。だが俺は12人だ」 シ「12人も!?凄いじゃない!さすがカイザー!頼りになるわ」 シャロンは自らの2倍の数を倒した事に驚きはしゃぎながらカイザーを煽った。 カ「だがまだまだ敵は多い、数だけは奴らの方が上だからな次第にこちらも押されてきてる・・」 煽りを気にする事も無くカイザーはそう言うと、シャロンを見る事も無くチッと舌をうった。 シ「ええ、そうね・・・かなり倒してはいるのに日増しに差が開いてるわ。特に局所的に損害が多いわね・・・もしかしてあの男が・・・」 カ「?」 シ「あっ・・・なんでも無いわ、気にしないで・・」 勘の鋭いカイザーが怪訝な表情で自らを見ているのを見て、シャロンは手をパタパタと振りカイザーの気を逸らせた。 シ(ふー危なかった・・・) カ「明日の作戦を練ろうと思うんだがお前もどうだ?」 シ「ん?ええ、まだ時間があるから良いわよ。私汗かいてるから水浴びしようと思ってたんだけどね」 カ「そうか」 カイザーは少しにっこりしたが、すぐにいつもの澄ました表情に戻っていた。 とある一室 ギギギギ・・・ガチャッ・・・ シ「は〜っ部屋の中は落ち着くわ」 カ「そうだな」 二人は部屋に入ると体を伸ばしくつろいだ。 二人とも影の一族では高い地位にあり、一般の兵士のいる所ではあまり気楽な態度は取れなかった。 もしも取ろうとするならそれは兵士の士気にも関わるからだった。 シ「この肩の鎧・・結構重いのよね」 シャロンはそう言ってマントを外し肩の鎧を外した。 外したマントと鎧を近くの椅子の上に置く、そして次に鞘をベルトから外し机の上に置くと、シャロンはその机に軽くお尻を乗せた。 そして胸元の服を少し肌蹴させ手で扇いだ。 シャロンの少し汗ばんだ胸元を見つめながらカイザーはシャロンに話しかけた。 カ「俺みたいに軽装になれば良い」 シ「冗談、あなたじゃないんだからそんな事すれば私死んじゃうわよ」 シャロンは笑いながらカイザーの体を小突いた。 シ(無かったらホントにあの時死んじゃってたかも・・) シャロンはフとあの事を思い返した。 カ「そうか?俺より身軽なお前には鎧は必要ないと思うが」 シ「剣の腕があなたぐらいあればね、それに私が鎧を脱ぐ時は戦が終わった時だけよ」 カ「それなら・・早く終わらせないとな・・・」 シ「?」 シ(どう言う事かしら) シャロンはカイザーの言葉がどういう意味で言った言葉なのか判断しかね悩んだ。 カ「それより明日の事だが・・・」 カイザーはポケットより畳まれた紙を取り出すと机の上に広げた。 それは影の一族が調べ上げた地下の見取り図だった。 圧倒的な光の一族がいまだゆっくりとしか進めないのは、迷路のような地下に影の一族側が様々なトラップや防御を築いている為だった。 もしもこの地図が光の一族にあれば恐らく影の一族はもう崩壊していたであろう事は間違いないぐらい大事な物であった。 シ「カイザーあなた地図なんか持ってたの?」 カ「わ・・悪いか!?」 シャロンの指摘にカイザーはビクッと大きな体を震わせ恥ずかしそうにそう呟いた。 シ「だって地図って最重要品だから戦場には持ち込みは禁止なのよ!見つかったら死刑だから皆記憶してるのに」 カ「いや俺も記憶はしてるんだが・・・・ただ」 そう言ってカイザーはもじもじしながらシャロンから目を逸らせた。 シ「いいわ皆には黙っててあげる」 カ「そ・・そうか、それは助かる」 シ(あなたが方向音痴なのは誰だって知ってるんだから・・ちょっとからかっただけよ・・フフ) シャロンはカイザーが胸を撫で下ろすのを見ながら少し微笑んだ。 カ「それでだが・・・・奴らは恐らく明日こっちとこっちから攻めてくると思う。だからこことここに兵を配置して更にこことここに・・・」 カイザーは地図を指しながら明日発生するであろう戦闘を予想して地図に様々な記号を描き足していく。それを傍で見ながらシャロンは一度大きな欠伸をした。 シ(戦略はあまり得意じゃないのよね・・・眠くなってきちゃう) シャロンはカイザーの言葉を子守唄の様に聞きながらウトウトし始め、少しして目を閉じた。 ・・・・・ カ「・・・・兵を配置しようと思うんだがどうだ?って聞いてるのかシャロン」 シ「ふぇ!?な、何?」 シャロンはカイザーの声にフと目を覚ました。 カ「寝てたのか?」 カイザーの鋭い視線がシャロンを貫く。 シ「ちょ、ちょびっとだけ・・・」 シャロンはごめんなさいといった感じで手を合わせた。 カ「まぁいいが・・・そういえばシャロンお前剣を背中に背負ってひげを生やした男を見た事あるか?」 シ「ひげ?ひげってこの髭の事?」 シャロンは手であごの部分を撫でた。 カ「ああそうだ。俺はまだ相手をした事が無いんだが相当な手練れらしいぞ。俺が育てた上級の兵士もも何人かそいつにやられてるからな」 シ「あいつ・・そんなに凄いの?」 カ「あいつ!?お前その男を見た事があるのか?」 カイザーはシャロンの言葉に驚き目を見開いた。 シ(あっ、しまった!つい・・・) カイザーの指摘にシャロンはドキッとして慌てた。 シ「あ、えっと・・私も兵士から聞いてたから・・もし私が遭ってたらこの剣でもう殺してるわよ」 シャロンは何とかごまかそうとカイザーに笑いながらそう言った。 カ「そうか・・・そうだな」 カイザーは軽く相槌を打つと自ら納得した。 シ(まさか今日そいつに負けたなんて死んでも言えないわ・・・) シャロンは表情を強張らせると今日の出来事を思い返していた。 カ「それでこういう風な感じで明日は布陣しようと思うんだがどうだ?」 シ「え!?ああ、あなたの言った通りで良いと思うわ。私あまりそういった事は詳しくないしあなたの立てた戦略は今まで間違った事が無いと思うから。それに・・」 カ「それに?」 シ「あなたを信頼してるから・・・」 カ「そうか・・なぁシャロン!」 カイザーの大きく力強い手がシャロンの細い手を掴んだ。 シャロンは急に掴まれた事に驚いた。 シ「え?何?・・ってちょっとカイザー!?」 シャロンがキョトンとする中カイザーは両手でシャロンを捕まえると壁際までゆっくりと押していった。 |
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