「いやぁやっぱり地下に来て正解だったぜ」
 「違いねぇ珍しいのがいくらでもあるからなぁ」
 二人は机に向かい合って話のかみ合っていない会話を笑いながら続けていた。
 その彼らの席の少し離れた所で未だ手枷をはめられ行為の後もそのままの状態でシャロンは吊られぐったりとしていた。あの後数回行為を繰り返した為か目を泳がせ、口をだらしなく開き、意識が飛んでいるかのようなとろーんとした表情を浮かべていた。
 そんなシャロンを気にする様子も無く二人が会話をしていた所いきなり部屋の扉が軋んだ音を立ててゆっくりと開いた。

 「誰だ?ってアルゴ鍵かけてなかったのかよっ!」
 「知るかよ、お前がかけたんじゃなかったのか?」
 二人がつまらない言い合いをしている間に扉が開くとそこから剣士風の髭面の男が入って来た。その人物を見るやいなや二人は大きな溜息をついた。
 
 「お、お前かよポルックス、びっくりさせんじゃねぇよ」
 「ああ、すまない楽しそうな声が聞こえたんで・・・・」
 ポルックスと呼ばれた髭面の男はフと視界に鎖につながれ肌が露になった女性を見つけた。
 
 「彼女は?」
 「あいつは俺の女、お前も知ってんじゃねぇの影の一族の女剣士のシャロン。くれって言ってもやらねぇからな」
 「シャロン?」


 「ポルッ・・クス?」
 かなり以前、とある出来事があった時に聞いた事がある名前が聞こえシャロンはぼやけていた意識を取り戻すと視線を扉に向けた。そこには髭面の見た事の無い男が立ってシャロンに向かって視線を投げかけていた。それに気づきシャロンは急いで肌が露になった自らの体を見られないようにクルリと背を向けた。

 「シャ・・・・ロン・・・うぐっ!」
 ポルックスは急に苦しみだすと頭を抱えその場に肩ひざを落とした。

 「おい!どうしたんだよ」
 「大丈夫か?」
 驚き近寄る二人をポルックスは手に持っていた剣の柄の部分でいきなり打ち込んだ。まるで狙った様に二人のみぞおちに入り重なる様に二人がばたりと倒れた。
 
 横目で見ていたシャロンは目の前で起こった事が良くわからず、ただ目の前の男が頭に手をやりながらこちらに近づいてくるのを見て恐怖を感じたがすぐ手前まで来た時シャロンは男に問いかけた。

 「私を・・・どうするつもり・・」
 するといきなり男は剣をスラリと鞘から抜き構え、それに驚いてシャロンは目を瞑った。キーンと言う甲高い金属音と共に鎖がだらりと垂れ落ちた。シャロンはわけも分から無い出来事に目を大きく見開いて体を男に向け喋りかけた。
 
 「あなた・・・光の一族なのにどうして・・・」
 「分からない・・・・ただ君を助けなければいけないように感じた・・・・・あっすまない」
 そう言うと男は慌てた様にシャロンへ背中を向けた。 シャロンはフと自分が男に対して肌をさらけ出している事に気づくと、恥ずかしそうに胸元と大事な部分を隠すと自らのマントとスカートを身に着け肌が露になった胸をマントで覆い隠した。そして先程の行為の後始末をしなが倒れた二人の体を探ると鍵を探し出し、手枷を外すと壁に立て掛けられた自らの剣を掴み、倒れた二人のそばで引き抜いた。

 「すまない、彼らは俺の友人なんだ。命だけはとらないでほしい」
 男の言葉にシャロンは少し考えると剣を鞘に戻しそのまま扉へと向かってたどたどしい足取りで歩くと手前で立ち止まり男に振り向いてつぶやいた。
 
 「あなた・・・もしかしてアスト・・・・いえ何でもないわ」
 「?」
 「ありがとう・・・・」
 そう言い残してシャロンは部屋を後にした....。


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