パシッ!
 乾いた音とともにシャロンの右手が強く頬を打った。

「!?」
 その刺激に何か失われていた物が戻った感覚を感じ、這わせていた手の動きを止めた。
 シャロンは呆けた自分を無理やり退かせると露になっている胸を隠し、すくっと立ち上がるとこちらを振り向いた。

「ちょっと遊んであげてたら調子に乗っちゃって.....あなたって最低!ほんと男ってこれだから.....」
 そう言い放つとそのままスタスタと隣の空いた部屋に入って行き、カチャリと鍵をかける音が聞こえた...。

「そんなに上手く行くわけない....か」
 シャロンが部屋に消えて少し経った後愚痴るように呟きながらベッドに倒れこむと薄暗い天井を見つめた...。
−でもシャロンキスをしていた時うっとりしてたし....さっき怒った様にああは言ったけど所々喋りがおかしかったし仕草もただ単に怒っている様には見えなかった....やっぱりほんとは...。
 シャロンの事を考えながら唇にそっと指先を触れた.....先ほどのシャロンの唇の感触がまだ残っているのを惜しむかの様に...。
 今年もまたイブの夜が静かに更けてゆく....。


 翌日のお昼頃。
 ちょうどシャロン以外の皆が集まり(デルタやカイザーはなぜか家に帰っていたらしい)昨日の騒ぎで散らかっていた家の中を片付けようかと広間で集まって話をしていると隣の部屋のドアが開いた。

「みんなおはよ.....」
 今起きたと言わんばかりに目を瞬かせながら、ボサボサの髪をしたシャロンが部屋からゆっくりと現れた。

「!?」
「シャ、シャロン様!その服装!.....」
「あ、あなた...なんて格好してるのよッ!?」
「ブヒヒ〜〜ン、おうおうシャロン昨日はお楽しみだったのか?」
「シャロン!...お前その姿は....」
 集まった皆が一斉にシャロンに奇異の視線を向け、声を上げるのを見て、シャロンは、ん?と不思議そうな顔をすると頭を下げ自らの姿を見た。

「!!!!!!!!!!!!!!」
 シャロンは今までに見た事もない様な表情になり時が止まったように立ち尽くす...。その姿は昨日の夜そのまま、胸の部分は大きく開かれ、何とか乳首は隠れてはいるものの二つのふくよかな膨らみがはっきりと見て取れる。しかもスカートも穿いておらず破れたストッキングから覗く赤い下着が日に照らされ眩しいぐらいに輝いていた....。

「キャアァァァァァッ」
 凄まじい金切り声を上げるとシャロンは先ほど出てきた部屋に飛ぶように入ると鍵をかけた。
 その鍵のカチャリという音が昨夜の出来事を再び脳裏に思い浮かばせた....。


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