このページにはシチュエーション上CGは無いです。 | (sh28のお話の続きになってますが内容的には読んで無くても大丈夫です。まあ読んでた方がちょっぴり良いかな程度ですね) 豚達の戯れ アルゴとリゲル達から解放されて数日後の事。 「私は光の一族と結託なんかしていませんっ!」 乾いた空気の広い場内を甲高いシャロンの声が響き渡り、そしてスーッと何事も無かったかのように静寂が訪れる。 ここは地下に作られた影の一族の城の謁見の間、暗い地下とは思えぬほど明るく火がともされ、磨かれた床や壁面が更にその明かりを反射し室内を際立たせていた。先ほど声を荒げたシャロンの目の前には二人の人物がいた。一人は何を隠そうこの影の一族を統べる王ウォトシーカ王本人であり、ゴツイつくりの大きな玉座に座っていてすら窮屈に思えるほどに体格はたくましく、そしてそこかしこにシワが見られるもののその風貌は歳を経て更に磨きがかかり威厳を増していた。そしてウォトシーカの隣に立つもう一人、テッシオと言う影の一族の参謀と言う肩書きを持つ片メガネをかけ常に杖を持つ肥満男。多少お茶目な所はあるものの普段から何を考えているのか良く分からず、シャロンはこの人物を余り良く思ってはいなかった。 そしてそのテッシオが静寂を嫌うかのようにシャロンに向かって問いかけた。 「しかしシャロン殿、隙を突いて逃げたと仰っていましたがとある兵士の報告によればシャロン様が光の一族の二人に捕まって部屋に連れられた一時間以上も後、もう一人の光の一族の物が室内に入りそのすぐ後にシャロン様が何事も無く部屋から出て来たとの事。しかもその男はそれから程なくして出て行ったと言っています。最初の二人もその後部屋を出たと言いますからどう考えてもおかしいと思いませんかね?」 「何がおかしいのよ?」 シャロンは目の前にいるウォトシーカを気にする様子も無くその傍らに立つテッシオを睨みつけて返した。 「そ、それは...逃げ出したと言うものの男は全くシャロン様を探す様子すらなかったとの事ですぞ!普通なら捕まえた者に逃げられれば必死に追いかけるのが当たり前ではございませんか?しかし追いかける様子も無かったと言うことはシャロン殿はその男と会う約束をしていたのではございませんか?捕まったのはその為のアリバイ作りでは?」 シャロンの威圧に少しどもりながらもテッシオは気になる疑問点を次々に述べた。 「さっきからぐちぐちと・・・私は捕まって逃げ出したの!ただそれだけ、どういう問題があるのよ!」 「問題も何もここ最近われわれは光の一族に押されております。しかも最近シャロン殿の様子がおかしいと兵士達が言っていますし、今回押されているのはシャロン殿が光の一族に情報を流しているからではないかと噂しておりますぞ!何か秘密があるのではございませんか?」 シャロンの単純な反論に少し有利と見て取ったのかテッシオは更に突き詰めようとした。しかし・・・・。 「そんな根も葉もない噂聞いた事も無いわよ!あなたこそ参謀の癖に全く役に立ってないじゃないの!押されているのはあなたの無能のせいじゃない?一度くらい前線に立ってみなさいよ、まあその体で前線まで歩けるのか知らないけど・・フフ」 シャロンは器用?に話を摩り替え話し終わるとクスリと小さく笑った。 「キ〜〜〜ッ!!!私は常にウォトシーカ様の傍に立ってお守りするのが務め、いくらシャロン殿とは言え言って良い事と悪い事がありますぞっ!」 シャロンの馬鹿にしたような笑みを見てテッシオは頭に血が上り、持っている杖をシャロンに向けてぶんぶん振り回しながら詰め寄った。その時テッシオの手から杖がスルリと離れ、テッシオから顔を背けていたシャロンの頭に運悪く直撃した・・・・。 ゴン・・・ 「いった〜〜〜いっ!!!!あ、あなた今のわざとでしょ!」 「ヒ・・い、いやこれは・・・私ではなく・・手が・・・ぎゃ〜〜〜〜ウォトシーカ様〜〜〜」 目にちょっぴり涙を浮かべ、杖の当たった所を擦りながら恐ろしい形相で向かってくるシャロンにテッシオは驚愕し、後ろのウォトシーカに助けを求めようと振り向いた所をシャロンに捕まると、問答無用でボコボコにされてしまった。しかしそれも最初の内で最後にはお互い絡まり罵り合いながらポカポカと叩き合っていた・・・・。 「あぁ・・・」 それを見ていたウォトシーカは椅子に肘を置き頭を抱えると、二人に向かってつぶやいた。 「二人とも子供みたいにみっともないぞ・・・」 「あっ・・・」 「こ、これは私めとしたことがっ!申し訳ございませぬ!」 ウォトシーカの声にハッとして二人は離れると、シャロンは乱れたマントとスカートを直しテッシオはボロボロになりながらも杖をついて体裁を整えた。 そしてしばらくしてウォトシーカはシャロンに向かって話しかけた。 「シャロンよ、お前が色々と悩んでいるのは分かる、そして影の一族の為に身を挺して頑張っているのも分かっている。しかし今回はどこから漏れたのか知らないが実際に噂が広まっておりそれなりに対処せねばならん、なのですまぬが少しの間自室で謹慎し命令があるまで外出は禁止とする」 「ウォ、ウォトシーカ様っ!!・・・っ・・わ、わかりました・・・」 ウォトシーカの言葉にシャロンは驚き反論しようとしたものの何とか自制して思い留まると俯いた。 だが・・・・・ 「そしてテッシオ、貴様はもう少し・・・」 「今のは意図せず当たっただけで、私には非はございませぬのをウォトシーカ様も御覧になっていたでしょ?、悪いのは先に手を出してきたシャロン殿でございます」 「な・・・何を!あなたが杖を振らなければ当たらなかったんだからあなたの責任でしょ!」 ウォトシーカがテッシオにも注意をしようとした所をテッシオが言葉を遮り、更にシャロンを挑発した事によって一度収まっていたものが燃え上がり、シャロンとテッシオは再度絡まるとポカポカと叩きあい始めた・・・。 「・・・・」 ウォトシーカは大きなため息をつくと無言のまま玉座から立ち上がった・・・・。 「あ〜〜〜ムカつく!あいつ・・絶対に許さないんだから!」 怒ったウォトシーカによって強制的にテッシオと離れさせられてひたすら説教された後、シャロンは自室に戻ると不機嫌そうに独り言を言いながら着ていたマントを脱ぎ椅子の背もたれに無造作に投げかけた。 「どうせ噂もあいつが仕組んだんでしょ、絶対そうに違いないわ。それにおかしいのよ、誰も周辺にいなかったはずなのに・・・・・」 シャロンが胸の鎧を外し机に置いた時、入り口のドアをコンコンと叩く音と声が聞こえた。 「シャロン様いるのかブヒ」 「?」 -この声と喋り方は... シャロンは不機嫌な表情のまま入り口に立つとドアをゆっくりと開けた。するとそこには2匹の豚がシャロンの顔を伺っていた。ブータとターブと言う兄弟で牢屋の番人兼尋問係であり、光の一族の捕虜を二人で管理しているのをシャロンは知っていたが、光の一族の女性の捕虜に悪戯をすると聞いた事があり、剣士と言う立場と道徳的な面からテッシオ同様あまり良くは思っていなかった。 「あなた達、私に何か用?」 「さっきスタリオンよりシャロン様を尋問しろという命令書を頂いたんでシャロン様を尋問する為にわざわざ来たんだブヒ」 と前にいるブータと呼ばれる少し赤黒い肌の豚が、シャロンの頭部から爪先を味見するかのように視線を移動させながら答えた。 「尋問?・・ってまさか!それでその命令書は!」 そう言うとブータの後ろにいた頭部に頭巾っぽい物を被ったすこし浅黒いターブが折りたたまれた命令書を差し出した。それをシャロンはサッと受け取ると手袋をした手で乱暴に見開いて絶句した。 「くっ・・これはウォトシーカ様の印・・と言う事は・テッシオの!」 「スタリオンもテッシオから貰ったと言ってたブヒ・・・」 シャロンは命令書をじっと見つめながら少しの間考えをめぐらせた。 -いくらテッシオがウォトシーカ様に助言して作ったとしてもこれは正式な命令書無視するわけにも・・・・でも所詮尋問って言っても大した事無いと思うし・・・嘘でも言えばこいつら程度・・・ 「・・・わかったわ。それで、どうするのよ?」 「ブヒッそう来なくちゃね〜」 とブータはやおら楽しそうに声を上げるとそそくさとどこに持っていたのか縄を取り出し、シャロンの華奢な手を掴んで後ろにまわすと器用に3本の指(蹄)で縛り上げた。 「ちょっと!?・・別に逃げも隠れもしないんだから縛らなくても良いでしょ!?」 肩越しに縛られた腕を不安そうに見ながらシャロンは言った。 「一応ですよ、一応・・じゃあシャロン様遅れずについて来るブヒ」 ブータはそう言うと廊下を体型の割に軽やかに歩き始めた。シャロンは遅れないようブータに付いて歩き始めるとその後ろからターブが歩きだしシャロンを前後に挟んだ状態で進みだした。 -終わったらあいつをもっと懲らしめてやらなきゃ。そうねぇモグラの一杯いる所で天井から吊るして置くのとか良いかも、泣いて命乞いする所とか見物よね・・・カイザーにも協力してもらおうかしら シャロンはテッシオがモグラたちの大群の中に吊るされて慌てふためく様子を想像して表情に出さずに笑った。まさか自分が吊られるとは夢にも思わずに・・・・。 「着きましたぜシャロン様。ここが俺らの尋問部屋だブヒ」 「え!?ええ・・ここがそうなの・・」 前を歩くブータの声にシャロンはビクッとして我に返った。城の内部はほとんど知ってはいるものの尋問部屋などは今まで訪れた事も無かった。 「じゃぁシャロン様どうぞどうぞ・・・ブヒヒ」 先に来ていたのだろう、ブータは鍵がすでに外れた金属の扉を開けるとシャロンを部屋に導き入れた。 「う・・・」 ろうそくの炎が室内を淡いオレンジ色に染める中シャロンは初めて見る尋問部屋を見渡して少し不安に駆られた。そこにはシャロンの知識でも判る様な拷問器具が壁に並び、それらに混じって全く使い方の判らない不気味な形容の物がそこかしこに置かれていた。 「こ、ここって・・あっ!?何するのよ!」 「まぁまぁそこにお座りになってくださいな」 シャロンは色々と疑問に思い訊ねようと後ろを振り返ろうとした所、ブータに背中を押されて前方にあったなぜか奥の壁際を向いた椅子に座らされた。その間にターブは扉を閉めると鍵をかけ壁に吊られた妙に長い縄を2本掴むと一本をブータに渡し、二人はシャロンの足首をそれぞれ縛り始めた。 「!?足なんか縛る必要性なんて無いでしょ!どうしてわざわざ足まで縛るのよ!」 シャロンは短いスカートを少し意識してか肉付きの良い太股を閉じながら、足元の2匹に恥ずかしそうに怒鳴った。 「これが俺達流の尋問だブヒ、なぁ兄弟」 「おおよ!シャロン様には俺らの尋問をたっぷり受けて貰わなきゃならないからなぁブヒヒヒ」 シャロンの言葉にたいして気にもせず足に縄を縛り終わると、ブータはスキップするように壁に走り寄り、天井から伸びて金具に固定されているロープを掴んだ。そして振り返るとシャロンに向かって言い放った。 「シャロン様それじゃあいきますぜ!」 「?」 シャロンはブータの言った言葉の意味がわからず、ただキョトンとしていた。そしてブータは固定されていたロープを解き放った。 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・ -な・・何よ!?この音は・・・ 部屋中に響く凄まじい音がしてまもなく、シャロンを挟んで両側の壁のロープが凄い速さで下がったと思いきや、シャロンの足首に結わえられたロープが上方へと一気に引っ張られた・・・・。 |
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